本群でいうデバイスとは,人の目に見える機械的な仕掛け・道具ももちろん含むが,電圧・電流・磁束を始めとし,電磁波,音波,量子状態など各種物理量に対する仕掛け・道具の意味を含んでいる.デバイス工学は歴史的には,半導体,誘電体,磁性体,金属,超伝導体などの物性の理解並びに超格子構造などこれら物性の制御技術の進展と,電子管などによる能動素子回路技術の蓄積とをベースとし発展してきているが,特にトランジスタ,トンネルダイオード, CCD, レーザ,ジョセフソン素子などの基本発明に牽引されてきた経緯は見逃せない. このような背景の中,第1編では磁性体と誘電体,第2編では金属と超伝導体,第3編では半導体を取り扱い,デバイス応用を計るために必要な物性を材料科学の視点で記述している. 第4編から第8編は,デバイスを機能別に分類し,それぞれの動作原理,設計方法,性能,及び今後の展望について記述している.電気信号の増幅,発振,処理を行う電子デバイス,光信号の発振,増幅,処理を行う光デバイス,光やマイクロ波などの電磁波の伝送を制御する回路デバイス,光電変換,圧電変換,加速度検知を応用したセンサ・弾性波・機構デバイスについて詳細が記述されている. また近年は,高度化された各種デバイス間の接続や,これらの高密度実装が重要な分野として注目されており,これについては第9章で記述する. 第10編では,これらのデバイス・材料の製造や各種試験における基盤技術である真空,低温,強磁場技術について記述する.
マルチチップモジュール
(2編1章 より)
SQUIDセンサを用いた先端センシングの例
(2編2章 より)